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<染色Q&A> 染色技術とその応用

回答者=今田技術士事務所 工学博士 今田邦彦

■ 分散染料の染色

10. 分散染料の高温分散安定性の試験法は?

Q: ポリエステル/綿混紡ニットの染色を行っていますが、分散染料の分散不良と思われるスポット斑が発生します。分散染料は分散液調整後ろ過を行って染浴に添加していますので、高温染色条件下での分散安定性が悪いものと推定しています。分散染料の高温分散安定性はどのような方法で試験できるでしょうか?

A:

高温条件下での分散安定性の評価方法は、日本や西欧の大手染料メーカが種々工夫していますが、染色工場でも実施できる実用的な試験法としては「ろ過試験法」、「高濃度染色試験法」等が知られています。具体的な試験条件の一例をあげると下記のとおりです。

1) ろ過試験法

染料分散液(5g/L程度)および場合によっては染色助剤を添加した染浴に被染色物を入れないブランクの状態で加熱処理した後、急冷し、ろ紙を用いて吸引ろ過を行なう方法であり、ろ紙上のろ過残渣の状況を肉眼で判定します。

<試験条件>

試験装置 高温染色機など染料分散液を高温で処理できる装置。
加熱処理  
浴 組 成
染料 5g/L
助剤 0 〜 2g/L
pH 5
液量 100ml
処理条件 温度・時間  130℃×60min
冷   却 40℃以下まで冷水にて急速に冷却。
ろ   過 通常の試験では、東洋洋紙No.5 A 定量ろ紙を使用、
厳密な試験を行なう場合にはNo.5 B 定量ろ紙を使用。
判定評価 ろ紙上のろ過残渣の状況を肉眼で判定。

本試験法は特別な試験設備を必要とせず、比較的容易に実施できますので広く利用されていますが、下記の点に問題があり、現実に染色過程で発生する高温凝集性を知るための試験法としては問題が残っています。

@ 被染色物を入れないブランク浴での処理であるため、染色過程での染着による染料濃度の変化が無視されています。
A 冷却後、処理浴を取り出しろ過試験を行なうため、高温高圧下での染料の凝集以外に染料の再結晶による結晶析出が加算され、見掛け上凝集性が悪く評価されることがあります。

従って、ろ過試験法はジッガー染色法のような小浴比の染色法に対しては有効な判定基準として利用出来ますが、パッケージ型染色機、液流型染色機等に於いては、ろ過試験法において悪い結果が得られても現実にはなんら問題の発生しない染料もあり、ろ過試験法の結果は、高温凝集性を判定するための参考値と考えるのが妥当です。

2) 高濃度染色試験法

分散染料の高濃度染浴中にてポリエステル繊維を染色し、被染色物の表面に付着する未染着凝集物を肉眼で判定する方法です。

<試験条件>

試験装置 カラーペット型染色機または同様の形式の
染色試験機を使用
試験条件
 
被染色物 ポリエステルジャージ
(カラーペット染色機の場合10g使用)
染    料 1/1、2/1、または3/1の各濃度
助    剤 0 〜 2.0g/L
pH 5
浴    比 1 : 30
温度・時間

上記(A)、(B)、(C)のいずれかで試験を行ないます。通常は(A)の条件で凝集が出なければ良いことになりますが、凝集の発生の有無を厳密にテストしたい場合には110℃程度の温度域で最も凝集しやすいため、(C)の条件を採用します。

<判定評価>

染色後は、洗浄せずに脱水・乾燥し、ポリエステルジャージ上ヘの凝集物の付着の程度を肉眼で判定します。

高濃度染色試験法の結果は、実際の染色の際の高温凝集挙動と比較的良く一致しますので、染料の選定、染色助剤の選定等を目的とした試験のためには有効な試験法です。

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