ポリエステル繊維の高温染色過程における染浴中の分散染料粒子の挙動を図式的に表わせば第1図のようになります。
第1図 染浴中の分散染料の挙動
通常、市販分散染料は常温で均一に分散するように製品化されており、染色温度の上昇と共に少量ずつ徐々に水中に溶解してポリエステル繊維に染着して行きます。一方、染色工程で染料の分散系が不安定となるような要因があると、染浴中で分散粒子が集合して染料凝集物を生成します。この凝集物は、染色時間の経過と共に一部水中に溶解し染着が進行しますので徐々に減少し、凝集物の発生の程度の少ない場合には染色終了時までに消滅します。しかし、冷却等によって浴中の染料の溶解度を減少させると、浴中の染料が凝集物を中心に再び集合することもあります。
通常の市販分散染料の分散粒子径は1μ以下であり、一方ポリエステル系繊維のモノフィラメントの間隙は数μ以上、また、織物組織の間隙になると10μ以上ありますので、室温での分散系やあるいは高温下でも凝集を起さないような状態を維持すればろ過現象や目詰まり等の問題は発生しません。
しかしながら高温凝集が発生するような条件下で染色を行なった場合には、染料凝集物の大きさは数10μ程度の大きさに成長しており、モノフィラメントの間隙を通過することが出来ず、ろ過現象や目詰まりの原因となります。
第2図 凝集を起した場合の染色系
高温凝集が発生した場合には、このような粒子径の粗大化が原因となったろ過現象や目詰まりに関連した問題の発生以外に、染料凝集物は水中に均一に分散する能力がありませんので、疎水性の繊維表面あるいは染色装置器壁への付着現象を起こし、上カブリとそれに伴う堅牢度低下、あるいは染色機の缶体汚染等の問題発生となります。
ターリング関連のトラブル対策としては、染色時における高温分散性(高温凝集性)を左右する要因をチェックして適切に対応する事が重要です。チェックすべき代表的な要因をあげると下記のようになります。
| 1) |
染料に関する要因 |
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(使用染料のターリング性が不良な場合があり染料選択が重要です) |
- 染料の化学構造とそれに関連した物理的性質(融点や水に対する溶解度等)。
- 染料分散粒子の物理的性能(形、大きさ等)
- 染料中に含有される分散剤の性能
| 2) |
被染色物に関する要因 |
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(トラブルの生じ易い被染物があります) |
- 繊維の易染度
- 繊維組織の粗密
- 繊維中のオリゴマーの含有量
- 繊維表面への油剤や糊材等の付着
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染色条件に関する要因 |
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(染色条件を適正化することにより防止できることがあります) |
- 染色濃度
- 染浴添加助剤(分散剤、均染剤、キャリア等)の性能及び量
- 染浴のpH
- 染色用水の水質
- 染色温度(昇温条件、たきこみ温度等)
- 染色時間
- 被染色物の充填密度
- 染浴の攪拌効率
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