| (編集部注)=写真は金子 隆英氏 |
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今ではすっかり下火になってしまったが、一時、マスコミ上で環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)が大きく取り上げられた時期があった。
非常にセンセーショナルな見出しがつけられていたケースもあり、覚えておられる方も多いのではないか。環境ホルモンとして取り上げられた化学物質そのものが染色加工における助剤として使用されていたわけではないが、環境ホルモン作用があるとして公表されたノニルフェノール、オクチルフェノールを出発物質として製造された界面活性剤が洗浄剤を始めとする各種の染色加工用薬剤の原料として古くから用いられていた。
また、染色加工においては多量の水を使用し加工に用いられた薬剤は環境中に放出されやすいため関連する業界には迅速な対応が求められた。
原糸メーカー、染色加工場、染色助剤メーカーが対応した結果、現在、日本国内における染色加工においてノニルフェノール系界面活性剤の使用は激減していると思われる。
環境ホルモンとしてリストアップされた物質は、ダイオキシン類、PCB類、農薬等のように以前から生物、環境に非常に大きな影響が認められていて、その使用が厳しく制限されている化学物質群と、従来から低毒性であるとされており洗剤やプラスチックの原料として身の回りに広く存在しているノニルフェノール系界面活性剤やビスフェノールAのような化学物質群に大別できる。
当時、環境ホルモンが大きな問題として取り上げられたのは、ノニルフェノール誘導体やビスフェノールAのような大量に製造、使用されている化学物質にダイオキシンやPCBと匹敵するような環境への影響があると本質的に間違った報道が市民の不安を増幅した一面もあると思う。
環境ホルモンやダイオキシン問題を反省材料として、日本の化学業界では化学物質による環境リスクに関する情報を行政機関、マスメディア、科学者、市民が共有、情報交換しなければならないという動きが活発になってきた。ここでリスクとは次のように定義されている。
リスク=化学物質固有の有害危険性(毒性etc)×暴露の程度
ノニルフェノール系界面活性剤の使用が削減されたのは、その毒性は決して高くはないが環境中に多く放出されているというリスク判断がなされた結果である。
また、誤った情報はリスクを増大させ、正しい情報提供はリスクを軽減するための有効な手段とされている。消費者に直接触れることが多いアパレル、流通関連分野の方々は自社製品のリスク判断に関して多くの経験を有しておられるとは思うが、染色加工に携わる化学品メーカーとして、ATTSの活動を通じて各会員企業の皆様に化学物質に対する正しい情報提供をおこなえるよう努力していきたいと考えている。
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