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日本化薬株式会社
  カヤセロン リアクト染料によるテンセルの染色
1. カヤセロン リアクト染料


1-1. 特徴

Kayacelon React染料は、高い染色温度を必要とする反面、高温で繊維を揉む工程が必要であるテンセルの染色加工、または、ポリエステル/テンセル混紡品の一浴染色に適した染料である。

テンセルは、独特の風合いを付与するために、フィブリル化、アルカリ処理、酵素減量などを行う場合が多く、Kayacelon React染料は、高温で染色するためのフィブリル化工程を兼ねることが可能、およびアルカリ剤が不要であるために酵素減量処理浴のpH調整、管理が容易であるなどの利点がある。

テンセル100%などは、常圧染色機で染色されることもあり、この場合、100℃以下の常圧染色適性、洗浄性などを改良した染料であるKayacelon React CN-603シリーズが適している。


1-2. 均染性、再現性

Kayacelon React染料は、無機塩(芒硝)添加により吸収するが、均染は、芒硝添加時の吸収の調整に頼ることなく、吸収した染料のマイグレーションで得られる。吸収した染料のマイグレーションは、温度が高いほど活発になることから、均染性は、固着が高温域まで抑えられるpHの低い方が良好となる。

一方、固着率を高め、良好な再現性を得るためには、pHの高い方が効果的である。

Kayacelon React CN-603染料と同時に開発したKayaslide PH-509は、昇温時は均染を重視したpH値を示し、染色トップ温度では固着を促進させるpH領域にすみやかにスライドする、主に常圧染色用のpH調整剤である(図-1参照)。

図-1 Kayacelon React 染料の染浴pH と固着率の関係 fig.1

表-1 Kayacelon React 染料の染色温度とキープ時間の目安 table1


1-3. 染色法

常圧染色、および高圧染色の染色トップ温度と固着時間の関係を表-3に示す。

100℃以上の高温染色においては、pHをスライドさせる必要がなく、中性染色(Kayaku Buffer P-7使用)で良好な固着が得られる。

染色時間の短縮には、染色温度を高めることが有効である。


2. テンセルA-100の染色性


2-1. 表面濃度、ビルドアップ性

テンセルA-100は、高い表面濃度が得られ、ビルドアップ性も優れる特徴を有する。

染色物の表面濃度は、マーセル化無しの木綿の約2倍である。木綿、レーヨン、およびテンセルとの比較を図-2に示す。

図-2 各種セルロース系繊維の表面濃度、およびビルドアップ性比較 fig2


2-2. 吸収速度

テンセルA-100は、染色初期において、木綿並みの吸収速度を示し、芒硝添加時の吸収速度が相当速く、且つ吸収率も高い。Kayacelon React染料の各種セルロース系繊維における染色初期での吸収速度を図-3に示す。

図-3 Kayacelon React 染料の各種セルロース系繊維における吸収速度fig3


2-3. マイグレーション性

テンセルA-100のマイグレーション性は、テンセルよりも劣る傾向にある。反応染料の吸収段階において、繊維との親和性が高く、無機塩(芒硝)を含まない熱湯処理(80℃)においても浴への脱落が小さい傾向にある。


2-4. 均染性

テンセルA-100は、芒硝添加時の吸収速度が相当速く、且つ吸収した染料のマイグレーションが小さいことから、均染には、吸収のコントロールを図ることが重要であり、これには、均染を考慮した芒硝量の使用、または、芒硝分割添加が有効である。

図-4は、Kayacelon React染料による均染性のレベルを確認した結果である。この試験は、染色初期の段階で故意に吸収差を発生させ(2枚の被染物に時間差をつけて染色浴に投入)、これが染色最終に均一化するレベルをみたものである。

図-4 Kayacelon React 染料の各種セルロース系繊維の均染性、および芒硝の影響fig4

この均染性レベルは、芒硝使用量が多いほど劣る傾向にあり、染色浴の染料の残留量、および染料の親和性が均染性に影響することを示している。(Kayacelon React染料の均染性は、良好な水準を有する)。


3. COMETシステム、適正芒硝量の設定


3-1. 反応染料の適正芒硝量

無機塩(芒硝)は、反応染料の浸染において、染着(吸収)に重要な役割を持っている薬剤である。

この芒硝の使用量の決定は、現状をみると染色の再現面に重点を置いている場合が多い。

再現面だけを捉えれば、芒硝を多めに使用しても差し支えない場合も多く、染色濃度に応じた芒硝量を階段式に決定している染色工場が多い。

染色工場における染色加工においては、再現性(色違い、ロットバラツキ)も重要であるが、均染面(染めムラ)、作業性、染薬コストなども同様に重要な要素である。

適正芒硝量は、これらの要素を踏まえて決定することが必要である(図-5参照)。

図-5 適正芒硝量に対する概念図
fig5


3-2. 適正染料

通常の染色では、単一の染料で染色されるケースが少なく、目的の色相を得るためには、そのほとんどが配合染色になる。

この配合染色において、適正芒硝量を決定する(割り出す)ためには、配合使用する染料の各染料の親和性が一致していることが前提となる。

反応染料の配合染色時の染着性は、配合使用する染料間で親和性が異なる場合、使用染料の配合比率、トータル濃度の違いにより、それぞれの染料の染着性は、大きく変動する。この挙動を全て把握するためには膨大なデータが必要であり、実用上不可能である。

Kayacelon React染料三原色、Kayacion E-CM,E-LE conc.染料は、この適正芒硝量決定のための割り出し(COMETシステム)が可能な染料シリーズである。


3-3. COMETシステム

COMETシステムは、パソコンを使用し、反応染料染色時の適正芒硝量、浴比変動した場合の浴比係数を割り出すシステムである。

COMETシステムによる適正芒硝量の割り出し計算においては、繊維の種類、使用アルカリ剤の種類、染色濃度、浴比をインプットすると次の計算が可能である。

標準芒硝量計算(標準処方):染色再現性を考慮した染着率での芒硝量

均染芒硝量計算(均染処方):染料の使用量に対して吸収率が50%となる芒硝量

経済芒硝量計算(経済処方):所定の濃度を得るための染料と芒硝のトータルコストが最も安くなる芒硝量

染着率指定:上記の情報(染着率)を基に、染色に最も適した染着率を指定して芒硝量を割り出す

図-6は、Kayacelon React染料の木綿とテンセルの標準芒硝量の関係を表したものである。

図-6 Kayacelon React 染料の木綿とテンセルにおける標準芒硝量の関fig6

現在、テンセルの染色に使用されている芒硝量は、レーヨン染色時とほぼ同量で木綿の3/4の量が一般的であり、この芒硝量を標準芒硝量とすると、その染着率(芒硝を多量に使用し、染着率が平衡に達した時の染着率を100としたときの染着率)は、木綿の場合85%であり、テンセルの場合80%である。しかし、テンセルは、この染着率の基準となっている、染着率が平衡になったときの染着率自体が木綿より相当高いため、染料の有効利用率、染色物の表面濃度は高い。


3-4. 芒硝削減

標準芒硝量を例にとり、芒硝量を階段式に決定している場合とCOMETシステムによる割り出した量を比較したものが図-7である。

図-7 COMET システムによる標準芒硝量割り出しと芒硝削減
−COMET システムによる標準芒硝量と
現在の階段式芒硝管理法(一例)との芒硝量比較−
fig7

COMETシステムによる計算では、反応染料の芒硝量が染色濃度、浴比に応じて細かく割り出せることから、階段式の芒硝管理法に比べて、相当量の芒硝削減が可能である。

階段式管理法では、芒硝染色濃度によって相当量の芒硝の無駄に加えて、均染面に悪影響をおよぼす芒硝量が使用されている。


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