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従来の染色は数千年もの長い間、水を媒体として行われてきた。染色加工工程では、何度も繊維を濡らしたり乾かしたりして、多量の水とエネルギーを使用するエネルギー・資源消費型工業である。また、先にも述べたように廃液処理が必要であり、廃液処理設備の初期投資が必要である。超臨界二酸化炭素流体(Supercritical Fluid:SCF)を染色媒体として染色に用いる論文が発表され、日阪製作所はSCF用機械装置の試験機の研究開発から大型の生産機の開発製造を行ってきた。これまで、大型機(100リットル以上)の装置を稼働させ、実生産しながら研究開発を行っている。この論文では、その中で出てきた問題点と今後の方向性を中心に報告する。
5-1) 超臨界流体とは
超臨界流体(SCF)とは、CO2の場合、一般的に(図8)には超臨界点(31.1℃,7.38Mpa)を超えた非凝縮性高密度流体と定義される。
液体と気体の両方の性質をもった流体といえる。すなわち、低粘度で、高い拡散性と高い浸透性のある流体である。染色で利用する領域は、非常に高圧でなおかつ高温領域になる。具体的に、我々が製作する装置の設計条件は、最高使用温度200℃,最高使用圧力28.0Mpaであり圧力容器としては非常に厳しい設計条件となる。実際のポリエステルの染色では、120〜130℃, 25Mpaで行っている。染色完了した後は、圧力と温度を制御して液体のCO2(25℃, 6.4Mpa)に戻してストックタンクに回収し再利用する。回収率は、95%以上可能であり、ほとんどが再利用出来る。
5-2) 超臨界染色のメリット
SCF染色のメリットについて述べる。ポリエステルの染色を例にすると、現在行っている水系の染色では、精練→染色→還元洗浄→水洗→乾燥となる。ところが、SCF染色では、染色の工程だけで良く、それ以外の工程が全て省略できる。実際のメリットを、下記に示す。
@染色助剤が不要(分散剤、均染剤、RC剤不要)
A染色廃液が出ない(廃液処理装置不要)
B乾燥装置工程不要(乾燥機不要、運搬が簡単→ドライでの移動)
C加工工程短縮(精練、RC洗浄、水洗工程不要)
DCO2の回収再利用
環境汚染や省資源・省エネルギーを考えると正に夢の様な染色と言える。
5-3) 超臨界処理装置のフローと構成
(図9)に超臨界装置のフロー図を示す。
超臨界装置は、染色処理する加工槽と加工した後のCO2を回収する回収装置そして回収したCO2を再度注入する注入装置から構成される。CO2を液体→超臨界流体→気体→液体とサイクルで変化させて利用するため、加熱、冷却、加圧、減圧、圧縮の為の装置からなり、液体を超臨界流体にする加熱器、気体を液体に戻すための冷却器や圧縮機などから構成される。日本国内では、すでにポリエステル等の染色に関しては、技術確立がなされており、各種研究機関や大学では染色以外の用途展開をはかる研究開発が行われている。
5-4) 超臨界装置の今後の取り組みと課題
これまで我々が取り組んできた超臨界装置での技術的課題について述べる。SCFは、高い拡散性と浸透性がありこれが分散染料における染色に有効に利用されるわけであるが、同時に超臨界状態にある加工槽や配管全体に染料が分散し加工槽の汚れの要因になっている。別途、加工槽洗浄の工程を設けて洗浄を行うが、生産性の低下に通じるため基本的には別工程を取りたくない。現在、圧力と温度のコントロールで染料の析出、フィルターでの回収を行う研究を行っている。洗浄システムの研究開発が最重点課題であり、染色以外の加工でも必要な技術である。また装置本体においては、汚れない表面構造や表面処理技術の開発を行っている。
最後に超臨界装置は、安全なCO2を利用し回収再利用をする環境対応型の理想の装置といえるが、先にも述べた様に高温高圧の圧力容器であり、現在の所装置コストが非常に高くかかる問題がある。特に、染色槽本体の加工コストが全体の約20%、回収のためのコストが装置全体の1/3近くを占め、この部分のコスト低減が今後の一番の課題となる。
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